朝青龍の引退と日本のシステム

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教育について

朝青龍の引退

日本に良いフォワードが出ないことと相撲協会のメンタリティー

 朝青龍が今日引退した事は、私にとって驚きであった。そしてとても残念に思った。
人類の普遍の方向性は、歴史的に個人の自由への渇望であると思う。
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 しかし、日本はそれと逆行する方向にまだ向いているのか、と思ってしまった。
 勿論、暴力は良くない、しかし、相撲という格闘技のハイレベルの選手は当然闘争心が非常に強いはずだ。酒を飲んで、暴れた事で引退はあまりに大げさで、相撲界が相当に屈折したメンタリティーにあると思った。
 相撲界は誰にでも良い顔をして誰からも良い評価を得たいのだろうか。優勝したときにガッツポーズをとってはいけないというのも精神的に病的といえる。日本が先進国で最も自殺が多い事は、そういう抑圧から来るストレスも有るのではないだろうか。
 相撲がもし日本文化を象徴するものであれば、サッカー界でも良いセンターフォワードは出ないであろう。また良い指導者も皆無となる。日本で出世する指導者は世渡り上手に過ぎなくなるであろう。

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良いゴールゲッターの特徴とは

 ゴールの臭覚が有る選手はそうたくさんいない。私はブラジルやフランスで多くのゴールゲッターとプレーをした経験から、良い選手はほとんどが、非常に自己主張が強く、あまり人に影響されないと感じている。
 もしサッカーをしていなかったら、ギャングスターになったと予想される選手もたくさんいた。そしてそれは今でも変わらないと思う。
 そういう選手でも成功すれば、貧しい人のためにファンドをつくり慈善活動をする事がよく有る。
 果たして日本の相撲協会の理事たちは、外面だけ整えて、きちっと着物を来ていても、心は本当に奇麗なのだろうか? 成功しても自分の利益のみ考え、いいこぶり、自分を守る事に終始していないだろうか?
 才能のある者をその才能に見合った度量でコントロールしているのだろうか? 仕事の良くできる人はよく遊ぶものだ。
 皆優等生では、真の実力者、リーダー、ゴールゲッターは生まれないであろう。
 ゴールゲッターは強引さが必要である。

日本人の心のベースに今回の相撲界的メンタリティーがあるならワールドカップ四位は無理

 外国人であるし、一人ぐらい、不良の横綱がいてもいいのではないかと思う。不良といっても人を殺した訳でもないし、重い犯罪を犯した訳でもない。
 勝利してガッツポーズをとる正直さの何処がいけないのだろうか?
果たして、それが本当に数百年前からの伝統なのだろうか? 私には数十年前からのものである気がしてならない。工業社会に最適化するための昭和前半に決められた国是としての教育の賜物のように思えてならない。
 可もなく不可もなくを美とする人が,世界の強者が集うワールドカップで勝てる可能性は低い。
 激しい闘争心のないフォワードはハイレベルの試合で得点できないであろう。

他国との比較

 私はスペイン、フランス、イタリア、ブラジル、アメリカ合衆国に住み生活したことがあり、イタリア以外では子供も育て、その経験から上記の国々と比べると日本人は極端に管理され消毒されているように感じる。
 私は、上のどの国にも実力的に日本はサッカーで勝てないと感じてしまう。
 ランキングの問題ではなく、ワールドカップのような真剣勝負になれば、アメリカ合衆国に勝つ事も難しいであろう。

解決策

 結局は教育の問題になってしまう。
 個人の自由を尊重し求めてゆくための教育が、解決策だと思う。

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難しさ

 運動部の学生の例をとると、先輩に奴隷のようにこき使われたので、今度自分が先輩になった時は、その先行投資のリターンを得たいと思うのは人情だ。クラブではそのメンタリティーは薄れているとはいえ、象徴的にいうと、まだまだ終身雇用年功序列のための長年の洗脳はDNAに残ってしまっている気がする。負の連鎖を切るには、一人一人が、客観性をもつための努力をしなければならないのかも知れない。

 ここに書かれている事は、ぱっと見、教育の話ではないのではと思うかもしれませんが、これから書かれるコラムを読んでもらううちに、関係をご理解していただけると思います。

 僕は十八才まで日本で教育を受けて、その後スペイン、ブラジル、フランス、アメリカ合衆国等の国で、プロサッカー選手であったり、子供のコーチであったり、ビジネスを営んだりしてきました。その経験から日本で受けた教育によって得てしまった習慣や考え方に、足を引っ張られてしまったと感じている事が意外と多くあります。そういう感じは、日本を出て外で仕事をしたり生活していないと解りにくいので、どんな事が足を引っ張ったのか、これから間接的に、解るようにコラムを書いてゆこうと思っています。勿論得した事も書きます。
 1991年にバブルが崩壊して、それでも昔の価値観のまま、あまり変わらず今日まで日本はきましたが、さすがに今回の金融危機では、いろいろな変化をこれから目のあたりにする事になると思います。また労働人口が急激にこれから減ってゆく事も大きなインパクトがあるでしょう。僕がブラジルから帰国した1991年頃はまだジャパン・アズ・ナンバーワンの意識が強く、聞く耳を持ってもらえませんでしたが、今はタイミング的にそろそろ聞いてもらえる時期になったかもしれません。

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